2012年10月11日

ヘラクレス最後の難行



第十一の難業、黄金のリンゴの実を取ってくる

第十一の難業、王エウリュステウスは再びヘラクレスに仕事をいいつける。

どちらも、今度こそラクレスでも絶対にできるはずがないと思われた難事でした。

十一番目の難業とは、ヘスペリスたちの守っている黄金のリンゴの実を取ってくるということでした。

ヘスペリスたちというのは、三人姉妹の美しいニンフ(地上に住む美しい女性の精霊たち)。

ヘスペリスたちは、世界の西の果てにある楽園に住んでいます。

不死の飲み物のネクタルが湧き出る泉の岸辺で、絶えず踊りながら澄んだ声を張り上げ、歌を歌い続けています。

そうしながら彼女たちは、この楽園に生えている黄金の実のなるリンゴの樹を、百の頭を持つ恐ろしい竜とともに守っていたのでした。

楽園はオケアノスの岸辺にあったが、人間にはそこへ行く道を知ることは絶対に許されません。

そのためヘラクレスも今度ばかりは、ヘスペリスのところへ行くことは諦めざるを得ませんでした。

ヘラクレスは世界の西の果てにいるアトラスという神の元を訪ねました。

アトラスは、ティタンの一人、イアペトスという神の息子です。

ティタンたちは大昔、ゼウスと世界の支配権を争って負け、タルタロスに閉じこめられていました。

アトラスは、ティタンの側について戦争し、ティタンたちの中でも並外れた大きな身体と、途方もない怪力の持ち主でした。

ゼウスは、アトラスに対して、タルタロスに閉じ込める代わりに、別の罰を与え、その怪力を世界のために役立てることにしました。

罰というのは、世界の西の果てに立って、頭と両手で一瞬の休みもなく天空を支え続けることでした。

アトラスのところにやって来たヘラクレスは、

「自分がしばらくの間あなたの代わりに天空を支えているので、あなたはどうかヘスペリスたちの園に行って、黄金のリンゴの実を取ってきてくれないか」と頼みました。

びっくりしたのはアトラスでした。

アトラスはヘラクレスの様子を穴の開くほどまじまじと眺め、

「なるほど、お前は相当の力持ちのようだし、それに私のいるこの場所まで来られたということからも、尋常の人間ではないようだ。

だが、私がこうして大昔から支え続けてきた天空がどれほど重いか、おまえにはわかっていないようだ。

人間の身で、たとえ一瞬でも、私に代わって天を支えるなどと、無茶なことをいうものでない」といいました。

試にちょっとだけヘラクレスに肩代わりさせてみました。

するとなんと、ヘラクレスは天空をぴくりとも動かさずに支えてしまったのです。

またもや驚かされたアトラスは、ヘラクレスにすっかり感心します。

なるほど、おまえはどうしてどうして大した奴だと、微笑んで、

「それならば、お前の願いをかなえてやる。しばらくの間だけこの辛い役目を、前に肩代わりしてもらおう。

そして、わしはヘスペリスたちの園からリンゴの実を取ってきてやろう」

こういうとアトラスは早速出かけて行って、黄金のリンゴを一つでなく、三つも持ってきてくれました。

ヘラクレスは、こうしてようやく手に入れたリンゴの実を、エリュステウスの元に持ち帰りました。

するとそこに、あの女神アテネが現れたました。

女神は、王エリュステウスを厳しく叱りつけて、こういいました。

「このリンゴの実は、決して人間が持つことを許されるものではないぞ」

王エリュステウスは、アテナの登場と、その怒りに恐れました。

震え上がるエリュステウスの手からリンゴの実を取り上げると、アテナは元の樹に戻しました。



 第十二の難業、死者の国の番犬ケルベロス

こうしてヘラクレスがエリュステウスに仕えて、果たさねばならぬ仕事は、ようやくあと一つを残すだけとなりました。

「今度こそ、あの男が絶対に生きて帰れぬような難事を、命令してやらねば」

エリュステウスは、死者の国の番犬ケルベロスを、連れてきてみせろと、とんでもないことをヘラクレスに命令しました。

ケルベロスとは、冥府でハデスとペルセポネの住む館の入り口を守っている、恐ろしい怪物の猛犬です。

犬の頭を三つ持ち、尾は生きた蛇で、背中からも蛇の頭が無数に生えています。

この命令を聞いた時は、さすがのヘラクレスも誰もいない場で天を仰ぎ、はらはらと涙を流しました。

「自分の運命も、もはやこれまで」と思います。

だがそこにアテネがゼウスに遣わされ、天から降りてきたヘラクレスを励まします。

アテネはどうすればよいかを、ヘラクレスに教えました。

ヘラクレスは教えに従い、まずアッティカのエレウシスに向かいました。

デメテルの神殿で行われる、密儀に参加するためです。

このエレウシスでの密儀を受けておくことが、冥界へ行くための準備になるのでした。

それからヘラクレスは、ラコニアのタイナロンという岬に行きます。

そこには、プシュケも通った、冥界まで通じる長い道の入り口がありました。

ヘラクレスはこの道を通って、冥界まで旅をしていきました。

ゼウスから派遣されて来たヘルメスが、彼のために道案内をしました。

死んだ人の魂を冥界まで連れて行くことが、ヘルメスの役目の一つです。

ヘラクレスは、途中さまざまな冒険をしながら、ハデスの館に着きます。

訳を説明してハデスに、

「ケルベロスを、エリュステウスのところに連れて行って見せることを、どうかお許しください」と要求しました。

ハデスは、この途方もない頼みを聞いてびっくり仰天。

冥界に不可欠な番犬を、地上に連れて行ってしまってはそれこそ大変です。

そこでハデスはヘラクレスに、

「よろしい。ただしそのために何の武器も使ってはならぬぞ」ハデスは、こういえばさすがのヘラクレスも、ケルベロスを連れて行くのを諦めるだろうと思ったのです。

ところが、恐ろしい怪物の首を両手でしっかりと締め付けました。

そして、たくさん生えている頭部の蛇たちに全身をかまれながらも、腕を緩めなかったので、しまいにケロベロスは降参してしまいました。

ケロベロスはまるで飼い犬のように、ヘラクレスに従うようになりました。

ヘラクレスがこうして番犬ケロベロスを連れ帰ってくると、エウリュステウス王はびっくりして、ケロベロスを見て恐怖で凍りつきました。

「もうたくさんだ、こんな恐ろしい化け物は早くもとの冥府へ連れ帰ってくれ」エウリュステウスが叫びました。

あまりにも泣き叫ぶので、ヘレクレスはケロベロスをハデスの館に戻しました。

こうしてヘラクレスは、エウリュステウスに仕えた間、十二の難業を果たして英雄として他の人間に決して真似のできない功績をあげました。

posted by ギリシア at 02:41| Comment(0) | ギリシャ神話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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